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盲導犬を知る

盲導犬訓練士になるには

みなさんの愛情を一身に受け、盲導犬はこんな生涯を送ります。

盲導犬訓練士とは、どのような資格でしょうか?

盲導犬訓練士という資格について

盲導犬訓練士という国家資格があるわけではありません。現在、国家公安委員会から指定を受けた盲導犬育成団体(全国に11団体・14施設)で研修を受けた職員が、盲導犬訓練士として必要な知識・資質を持つと認定された場合、「盲導犬訓練士」ということになります。

それぞれの団体が個別に認定するケースもありますが、認定NPO法人全国盲導犬施設連合会に加盟している8団体では、各団体から資格審査員を出し、その審査に合格した者を「盲導犬訓練士」「盲導犬歩行指導員」と認定しています。審査を受けるまでに修得しておくべき知識・経験の基準については、後ほどご説明します。

盲導犬歩行指導員について

盲導犬訓練士とは、さらに勉強と経験を重ねて「盲導犬歩行指導員」になる途中の段階であると考えて下さい。いわばサナギの段階です。では、盲導犬歩行指導員とは何でしょうか?盲導犬歩行指導員とは、海外ではGuide Dog Mobility Instructor (GDMI)と呼ばれ、盲導犬訓練士(GDT)が主に犬の訓練を中心に行うのに対して、歩行指導員は視覚障がい者に、盲導犬との歩き方を指導するのが主な仕事です。

ですから、歩行指導員になるためには、目の病気のこと(眼科学)や障がい者の心理学などを勉強する必要があります。訓練士を目指す方々の中には、「自分は犬の訓練だけを仕事にしたい」と考える人もいるようですが、視覚障がい者の事を勉強せずに盲導犬を訓練するのは不可能です。ドライバーの特性を知らずに、良い車を作る事ができないのと同じです。ただし、歩行指導員が犬の訓練を全くしないわけではありませんし、盲導犬訓練士と歩行指導員の仕事の重なる部分も多いですから、ここでは歩行指導員もまとめて「盲導犬訓練士」と呼ぶことにします。

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盲導犬訓練士とは、どのような仕事でしょうか?

盲導犬訓練士の仕事内容

多くの人が、「訓練士は四六時中、犬の訓練をしている人」と考えるようですが、実はそうではありません。もちろん、盲導犬の訓練はしますが、それ以外にも、訓練犬の配食や訓練犬の日常の世話などの仕事もあります。また、盲導犬を希望する視覚障がい者からの問い合わせや体験歩行の要望に応じたり、盲導犬ユーザーへのフォローアップなども訓練士の仕事です。

直接、盲導犬や視覚障がい者にかかわることだけでなく、盲導犬を引退した犬(リタイア犬)とリタイア犬を飼育するボランティアを希望してくださっている方、盲導犬には向かないと判断された犬(キャリアチェンジ犬)とその犬のオーナーとなってくださる方との橋渡し役なども仕事の一部です。もちろん、報告書の作成などの事務関係の仕事もあります。

盲導犬訓練士の特徴

警察犬や災害救助犬、さらには麻薬探知犬など、一般に犬の訓練士と呼ばれる職業は複数あります。では、それらの犬の訓練士と盲導犬訓練士の違いとは何でしょうか。

それは、目の見える訓練士が、視覚に障がいをもつ人が使用する犬を訓練するということではなでしょうか。そのために、盲導犬訓練士は、視覚に頼らず犬と安全に歩くために必要なことを常に念頭に置きながら訓練を進めなければなりません。

盲導犬訓練士に求められる資質

これは盲導犬の訓練士に限った事ではありませんが、盲導犬訓練士に必要な資質は?と聞かれれば、①コミュニケーション能力、②創意工夫する能力、の2つがあげられるでしょう。

盲導犬の訓練士が1頭の犬とかかわる期間(盲導犬の訓練期間)はおよそ1年ほどです。ですから、1才まで育ててくださったパピーウォーカーさんと話をし、家庭でのその犬の特徴をいかに聞き出すか、が訓練やマッチングでの大事なポイントとなります。

また、盲導犬での歩行を指導する相手は視覚障がい者ですから、身振り手振り、図に表わすという方法では、相手にうまく伝えられません。言葉の説明だけで相手にスムーズにわかってもらうためにどのように説明すればよいのか、常に考え、実行していかなければなりません。

盲導犬ユーザーの中には、若い大学生がいるかと思えば、自分の親よりもご年配の方もおられます。世代の違う方々に、より安全に快適に盲導犬と歩行してもらうためには何をどう伝えれば良いのか?この難題を最初から解ける訓練士はいません。模索と失敗を繰り返しながら、ケースバイケースでより的確な対応を体得してゆく柔軟性が求められているのです。

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どうすれば盲導犬訓練士になれるのでしょうか?

盲導犬の訓練士・歩行指導員になるには、まず盲導犬育成団体(全国11団体)のいずれかの職員となる必要があります。訓練士は全国に70名程度しかいません。しかし、どの団体でも定期的に職員を新規採用することはあまりなく、希望者が多くても、なかなか採用の機会がありません。

職員となる要件は、団体により異なりますので、詳しくは各団体にお問い合わせください。当協会の場合、職員を採用する予定があればホームページを通じて公募することになります。

このように、採用が狭き門であるため、採用の機会を待つまでの間、就職するための準備や研修を行なう方もおられます。ここでは、そのような準備・研修を2つご紹介します。

1つは、学校の休暇などを利用したボランティア活動です。盲導犬の訓練のようなことはできませんが、犬舎の掃除などのボランティア活動をする中で、訓練士や歩行指導員の働きぶりを身近に見て、ご自分のイメージと近いかどうか確かめる機会にもなると思います。団体や時期によって、ボランティアを募集していない事もありますので、詳細は各団体に確認して下さい。

もう1つは、視覚障がいに関する専門知識や技能を身につける事です。代表的なものは、日本ライトハウスおよび国立障害者リハビリテーションセンター学院が実施する研修です。これらの施設では、白杖歩行だけでなく、点字や音声パソコンの使用などの指導方法を学ぶことができます。

白杖は、視覚障がい者が移動する際にもっともよく利用される道具ですが、適切に使わないと安全に歩行することはできません。白杖歩行指導員は、視覚障がいおよび白杖歩行のスペシャリストとして、専門的アドバイスおよび指導を行なう立場にあります。盲導犬の歩行指導と重なる部分は多く、実際に白杖の分野から盲導犬の世界に入る人もおられます。白杖歩行指導員の詳細については、(社福)日本ライトハウス養成部、または国立障害者リハビリテーションセンター学院視覚障害学科までお問い合わせ下さい。

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盲導犬訓練士はどのような勉強をするのでしょうか?

盲導犬訓練士と歩行指導員が勉強するべき科目として、以下のものが定められています。

これは、全国9つの盲導犬育成団体(当時)が協議のうえ、養成カリキュラムや認定基準を定めたものです(日本盲人社会福祉施設協議会 リハビリテーション部会 盲導犬委員会(当時)の規定より抜粋)。

  • 1)犬の訓練技術および犬に関する知識(犬解剖学、犬舎管理を含む飼育技術、犬の歴史、犬の感覚、犬と人間の相互作用、動物心理学、繁殖遺伝学、盲導犬の歴史、訓練方法論、公衆衛生学等)
  • 2)視覚障害及び法律に関する知識(身体障害者福祉論、視覚障害概論、関連法規)
  • 3)視覚障がい者の歩行に関する技術及び知識(人間の感覚、運動のメカニズム、学習心理学及び教育方法論、老年学、ロービジョン、発達心理学、面接と評価の技法、カウンセリング、電子機器など)
  • 4)盲導犬の歩行指導に関する技術及び知識(盲導犬の飼養に関する適正評価、フォローアップ、指導計画の立案等)

もちろんこれらの知識を習得するだけでなく、訓練・指導技術など、技術的要素に関しても一定の習得基準があります。最終的に、盲導犬訓練士や歩行指導員として相応しい能力、人格を持つと判断された者が、盲導犬訓練士および盲導犬歩行指導員と認定されます。ちなみに、盲導犬訓練士は3年間、歩行指導員はその後さらに2年間の養成期間が設けられています。

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