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季刊誌「ハーネス通信」

2017年01月のバックナンバー

盲導犬ユーザーと京都を歩く~第15回 ホームから降りてみました~
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 「乗り物シリーズ」、今回は「安心して電車に乗るために」です。JR西日本のご協力を得て、「ホームの下はどうなっているの?」「ホーム柵ってどんな仕組み?」 などなど、日頃から気になりながらも、なかなか知ることができないハード面を徹底的に体験。
 また安全性を高めるため、ハード面だけでなく、ソフト面も強化したいというJR西日本。より安心して電車に乗るために、伝えたい思いがいっぱいの盲導犬協会。双方の思いが結びつき、JR西日本の社員研修会に講師として参加し、鉄道をソフト面で支える若き社員さんたちとの生のコミュニケーションが実現しました。



ハード面・・・ホームとホーム柵
 ここは、JR西日本の社員さんたちが訓練で使う疑似ホーム。実際に訓練用の電車を走らせることができる、屋外施設です。万が一線路へ落ちてしまった時、そこがどうなっているのか、実際に体験する機会はまずありません。今回はホーム下に降りて線路を触ったり、ホームの高さを体感したり、電車の大きさを確かめたり。とにかくホームは想像以上に高く、とても自力で這い上がれるものではないと実感しました。
 JR高槻駅では、実際に稼働中の「昇降式ホーム柵」を触らせてもらいました。このようなロープが昇降するスタイルは、様々なタイプの列車ドアに対応できるとのこと。同じホーム柵は、これから京都駅、三ノ宮駅など、設置が進められるそうです。

ソフト面・・・JR西日本社員研修に参加
 大阪府吹田市にある「JR西日本社員研修センター」。ここで社員さん対象に、「盲導犬ユーザーの方の生活と鉄道利用について理解を深める」講座が開かれました。JR西日本は、「サービス介助士」を積極的に養成するなど、社員の意識と介助スキルの向上に力を入れており、その一環としての取り組みです。
 講師は、関西盲導犬協会の職員と盲導犬ユーザーの森永さん。まずは弱視シミュレーションレンズによる弱視体験なども盛り込みながら、「視覚障害とは」の基本を学びます。それから森永さんと盲導犬ウーリーが中心に入り、和やかなフリーディスカッション。その様子をお伝えします。

ユーザーの森永さんへ、一問一答。
Q:電車での怖い体験ってありますか?
A:ホームから落ちたことはないのですけれどね。落ちかけたことはあります。大雨でホームの屋根の雨音がうるさく、混雑して普段とまったく違う中、うっかりホームの端ぎりぎりまで出てしまったんです。あと一歩で落ちる..というところで、そばの人がぐいと手をひっぱってくれて、命拾いしました。怖かったです。

Q:やはりホームは怖いところなんですね。
A:私は好奇心旺盛でどこでも冒険するのですが、ホームはさすがに怖いですね。ホームドアがある駅だと、リラックスしてあちこち歩き回ってしまいます!

Q:視覚障がい者の人に声をかけるとき、どうしたらいいですか。
A:JRの職員さんは、「JRの者です」と言っていただけたら、安心できます。それから、「危ない!下がって!」とか大声で言われても、誰のことかわからないんです。まさか自分が危ないなんて、思っていないでしょ。「盲導犬の人、止まって!」という風に言われると、よくわかります。

Q:盲導犬の背中についている赤いカバンには、何が入っているのですか?
A:犬の排泄用の道具です。これをつけると、汚すことなくおしっこもウンチもとれるので、例えば新幹線のトイレの中でさせたりもできるんですよ。

Q:駅員の対応で、うれしかったことは?
A:なにげない会話がうれしいですね。どの駅弁が美味しいとか、ちょっとしたことです。私、車に酔いやすいので、鉄道が大好きなんです。職員さんと楽しい会話ができると、ますます楽しくなります。

 森永さんとウーリーを囲み、笑いがいっぱいの研修会。 実は、森永さんが目指していたのが、この「笑い」。法律や制度と難しいことを学ぶより先に、語って笑って理解しあうことこそが、「安全」につながるからです。社員さんたちの一生懸命な姿が頼もしく、うれしくなりました。
 またこれを機会に、JR西日本と関西盲導犬協会が連携し、さらなる社員さんのための研修会や、視覚障がい者のための体験会など、可能性が広がっています。より「安心して電車に乗るために」、益々の充実を期待しています。

研修会に参加された社員さんの感想レポートより
◆ 視覚障がい者は全く見えない人ばかりではなく、約8割も弱視の方がおられることを知りました。
◆ 弱視の方にも様々な見え方があることを知りました。
◆ 「盲導犬を連れているときは、目の不自由さを忘れて行動できる」と聞き、かけがえのない存在なのだと思いました。
◆ 盲導犬を連れている人に声をかけないようにしていましたが、お困りの様子ならお声かけが大切だとわかりました。
◆ 少し遠い存在だと思っていた視覚障がい者のことが、ディスカッションすることで身近に感じました。
◆ お手伝いだけでなく、会話をすることで喜んだり安心して下さることを知りました。

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