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季刊誌「ハーネス通信」

2014年11月のバックナンバー

盲導犬ユーザーと京都を歩く(7) 「香」を遊ぶ
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「香」を遊ぶ~京都御苑に近い「山田松香木店(やまだまつこうぼくてん)」にて~

 今回は、江戸時代に薬種業として創業し、現在は香木(こうぼく)を中心に伝統の香り文化を伝える「山田松香木店」で、「香」を体験しました。

 京都御所の西、整然と落ち着いた室町通りに面して、「香」と書かれた暖簾のあるお店。あたりにはお香の香りが漂い、暖簾をくぐると静寂に身が清められたような気分になります。店内には愛らしい小物から、ガラス越しに展示されている貴重な「香木」まで、見飽きることがありません。ここで「匂ひ袋作り体験」に挑戦です。

 体験教室のある別館は、奥行きのある明るい部屋に、広々とした作業のためのテーブルがあり、部屋の一角は、職人さんの作業スペースになっています。赤いフリルのドレスでお洒落をしたオレオは、森永さんの足元のマットに悠々と寝そべりました。





さて、いよいよ匂香作り
 まずは準備された香原料八種類を調合し、基本の香りを作ります。
 器にさじで香料をすくい、入れていきます。最初は「白檀(びゃくだん)」。先ほどの木片を細かく刻んだもの。次に「丁字(ちょうじ)」。これはクローブとも呼ばれる花のつぼみ。「桂皮(けいひ)」別名シナモンなどなど...... 中には、しょうがの仲間で、防虫効果はあるのに、なぜかカナブンには好かれるという不思議な香りがするものも。これら8種類を一つひとつ香りを味わいつつよく混ぜて、基本の香りの完成です。

自分の香りは?
 ここから、好きな香料を足して、オリジナルの香りを作ります。でもどうしたらよいのでしょう? アドバイスを受けて、香料を入れる森永さん。
「好みの香りになりました?」と問われ、「これが私の好みなのか~?!」と叫ぶ森永さん。
 やや不安げなもどかしい思いを伝え、助言によってさらに香料を足しては混ぜて、「うん! これで完成です!」とにっこり。

手紙に入れる香り
 出来上がった香料は、かわいい友禅の袋につめて、口をひもで結びます。小さな袋ですが、意外にたっぷり入りました。上手なご指導で、ほぼこぼさずに、ちょうちょ結びをして、「匂袋」が完成! さらに残ったものは、「文香(ふみこう)」に。手紙に入れて香りを送るものだそう。なんだかおしゃれですね。

堀田さんにご質問してみました。
Q:視覚障がい者の方は来られますか?□(1字開けます)とても説明がお上手だったのですが。
A:ありがとうございます。私自身は初めてです。体験教室は、修学旅行をはじめ、旅行客の方が多いです。外国人の旅行者も喜ばれますよ。

Q:漢方薬作りのような古い道具がたくさんありますが、展示用ですか?
A:いえ。実際に作業しています。香木は、機械で刻むと余計な熱が加わり香りがとぶので、すべて手作業なのです。薬研(やげん)など、漢方の道具も多いですね。

Q:日本古来のものなのに、材料はほとんど輸入というのが不思議です。
A:仏教の伝来とともに、必要なものとして日本に伝えられてきたのです。だから大昔から輸入品を使っていたのです。

森永さんのご感想は?
「予想外に(というと失礼ですけれど)面白かったです! 一つひとつは自己主張の強い香りなのに、少しずつ混ぜることでマイルドになっていき、香りも変わっていく。不思議で奥が深いです。自分で丁寧に作ってみると、愛着がわきますね。 それから、嗅覚が鋭いはずのオレオがぜんぜん動じなかったのも意外でした。犬って気にならないのでしょうか?□ずーっと寝ていて、おかげで私は体験に集中できました。」

さいごに・・・
体験は他にもいろいろあり、電話で申し込めば、視覚障がい者、盲導犬ユーザーの方でも、配慮して対応してくださいます。京都らしい香りの世界を味わってみてください。おすすめです。


表紙のお話番外編 「香木・香料」豆知識
 「山田松香木店」にて、今回担当してくださった掘田千尋さんに匂香作り体験の前に伺った香木・香料のお話です。

香木は、金より高い?!
 基本となる香木(こうぼく)三種類を肌で感じることから始まりました。
 目の前の、なにやら古びた木の固まりを手にとると、ずっしりと重く、鼻を近づけてもほとんど香りません。これは「沈香(じんこう)」といって、木の中の樹脂の固まりで、香り文化の中でとても大切なものだとのこと。
 次は伽羅(きゃら)。これもやはりずっしり、しっとりとしていて、成分は木の樹脂。ただし、熱したときの香りは「沈香」より強く、原産国も限られていて、非常に貴重なものだそうです。値段を尋ねると「金よりも高価と言われています。
 もう一つの香木は、白檀(びゃくだん)。これは樹脂ではなく、木の芯材です。そのままでよく香り、扇子や数珠、仏像など工芸品の原料となるそうです。

龍のよだれ?!
 次に、大変珍しい「動物由来の香料」の香りをかぎました。ガラス瓶の底にある、黒い石のような塊。これは「龍涎香(りゅうぜんこう)」つまり、龍のよだれの香り。実はマッコウクジラのおなかの中にできる結石の一種だそうです。香りは意外にマイルドで、うまく使うと、甘い香りを引き立てるそうです。
 それから白い毛が生えた怪しげな塊は「麝香(じゃこう)」。こちらは強い香りを放っています。なんとジャコウジカの大人の雄の腹部にある、香嚢(こうのう)呼ばれている分泌腺で、鹿が岩や木にマーキングをするためのもの。クレオパトラや楊貴妃が好んだ香りだと聞いて、びっくり......

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