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季刊誌「ハーネス通信」

2013年04月のバックナンバー

調理の工夫や便利グッズ(2013年春号特集)

 はじめて点字図書館を訪れた時、本や雑誌コーナーの奥に、視覚障がい者用のグッズが展示されており、そこで真っ黒なまな板をみつけました。スーパーでは見られないこの商品に一瞬なんで?と驚き、その後なるほどと理解しました。視覚障がい者用の商品を知ることは、その方々を理解することにもつながるのではないかと思います。
 特に、今回は台所用品に着目して、皆さんが日ごろ工夫していることや、グッズ等を紹介していきます。盲導犬ユーザーのみならず、料理上手な方、そうでない方にとっても、眼から鱗の便利グッズを紹介していますのでチェックしてみてください。

 


【これは便利!キッチングッズ紹介】
・黒いまな板やしゃもじ→色のコントラストで明度の高い食材がはっきり見えます。特に白っぽい食材の視認性が高まり調理がしやすくなります。
・こぼれないしょうゆさし→誤って倒してしまっても中身がこぼれない便利なしょう油差し。プッシュ式なので、押し方によって量を調節できます。
・米ピタ!クリップ→お米とぎの時にお米をこぼさず水切りができる便利グッズ。水にさらしたキャベツのみじん切りの水切りや、戻したわかめの水切りなどにも便利。
・置いて計れる計量スプーン→スプーン部分の底面が平らなので、置いたまま少量でも正確に量れます。
・あくも油もとるシート→シートをのせておくだけで見ていなくても「アク」と「油」をシートの両面で吸着! 煮物や鍋物のアクだけでなく、油をスッキリとってカロリーダウンもしてくれます。
・シリコン製手袋→熱に強いので、ゆでたレトルト食品を鍋から取り出すことができます。
・シリコンスチーマー→今や大人気のシリコンスチーマー。電子レンジ調理器です。そのレシピは数え切れないほどあり、デザートまで作れてしまうつわものです。
形状も様々で、それぞれ具材をいれてチンするだけで、ヘルシー料理が完成。
シリコンなので、容器も素手でさわれるので安心。器に移さなくてもそのまま食卓へ出せるのもうれしいですね。
・レンジで焼ける魚焼き皿→魚を載せてチンするだけで、魚が焼ける驚きグッズ
煙も出ないし、魚焼き機を洗う必要なし。

【視覚障がい者の方々が実際に行っている工夫のあれこれ】
○配膳の工夫
・食器の配置は、倒れやすいものや水ものを座席から遠い方に置く。
・食器の色と、その器にいれる食べ物の色は、正反対の色にする。
・あらかじめ、食器の配膳位置を決めておき、いつも同じように置く。
○調理器具の工夫
・計量カップは、50・100・200mlの3種類を組み合わせて使用する。計量スプーンも同様。
・様々な便利グッズを利用する。
○冷蔵庫の工夫
・2リットルのペットボトルを半分に切ったものや、箱で仕分けし整理する(特に野菜室)。ジャンル分けするとわかりやすい!
○調理の工夫
・ガスコンロは、洋服の袖に火が燃え移ったりする可能性があるので、なるべく電子レンジを使ったり、IHクッキングヒーターを使用する。
○番外編
夫が料理をする時は、意外性のあるオリジナルメニューが登場することが多く、最近は、料理のメニューを伝えるのではなく、食材の名前と調味料を言ってもらうようにしています。

【調理の工夫インタビュー】
 視覚障がい者にも使いやすい調理器具はいろいろありますが、家事をこなすには、他にもいろいろな方法や工夫がありそうです。そんなところの話を、主婦歴ン十年の盲導犬ユーザー、Kさんに伺いました。

Q 家事は毎日のことですから、手軽でしかも便利な方法を日々工夫されているのではないかと思うのですが、例えばどんなことをされていますか?
A 箸立てに何膳もお箸を入れていると、対のお箸がわからなくて探すのに手間取ることが多かったので、今は対のお箸を洗うごとに拭いて輪ゴムで留めています。これならどれとどれが対のお箸かなんて探す手間が省けます。
 輪ゴムは、食材の区別にも使えます。濡れても破れたりしないようなコーティングされた紙を短冊に切っておいて、「鶏ささみ」とか「豚こま」とか点字で書いて、それを輪ゴムにホッチキスで留めて、食材につけておきます。(写真あり)スーパーのレジが忙しそうでない時は、店員さんに頼んで、その場で輪ゴムをはめてしまって、家に帰った時に区別できる状態にしています。
Q 冷凍食品の区別にも使いますか? 以前、鶏肉だと思って解凍したら、中身は肉ではなくてロックアイスだった、なんて失敗談を話してくださったユーザーさんもおられました。
A 冷凍食品に輪ゴムをかけても、切れてしまうことが多くてあまり役には立ちません。そこで、手触りの違うヒモを巻いて区別しています。いろいろなものにICタグをつけて音声で読み上げる機器を使う方法もありますが高価なものですし、身近にあるものを使って上手に節約するのも主婦のウデの見せ所でしょうか。
Q 他に日常生活で工夫されていることは、ありますか?
A 実はけっこう神経質にならざるを得ないのがゴミ出しなんです。特に滋賀県という土地柄のせいかゴミの分別はかなり厳しく、これを全盲の主婦が完璧にこなすのは至難の業。市指定のゴミ袋もどの袋が「燃えるゴミ」なのか、それとも「燃えないゴミ」か「プラスチック容器」か、見える人は袋の色で区別できますが私にはそれができません。そこで、市に要望したところ、それぞれが手触りで区別できるよう材質が異なる袋になりました。その上「燃えないゴミ」袋には縦にボツボツのラインが入っていて、さわってわかるようになっています。ただ、色違いのビンを指定された箱にそれぞれ入れるというのは、日によって箱の置き場所も変わりますから、これは家族や近所の人にも手伝ってもらっています。困った時に助けてもらえるような地域の人たちとの関係づくりも工夫のひとつと言えるかもしれませんね。

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