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季刊誌「ハーネス通信」

2012年10月のバックナンバー

発足10年「クイールの会」(2012年秋号特集)

クイールの会募金活動1b.jpg街頭募金活動や当協会のイベントなど、いつもいろいろな場面で当協会をささえてくださっているボランティアグループ「クイールの会」が、今年、発足して10周年を迎えました。
本年16日には、日頃の積極的な活動が評価され、京都市社会福祉協議会会長賞を受賞されました。当協会をいつもささえてくださっているクイールの会・仁井勇会長にお話を伺いました。


Qクイールの会発足の経緯は?
関西盲導犬協会のお手伝いをするようになってから、私たち夫婦でずっと考えていたことがありました。それは、リタイアした犬の安定した生活や病気になった時の医療費は自己負担など、お世話される方にとって、体力的にも経費的にも大きな負担になるということ。リタイア犬に対して何らかの補助ができないかと話していました。
そんな折、立命館大学の社会人向けボランティアコーディネーターについて講義を受ける中で、関西盲導犬協会が困っていることは何かを考えました。そして、資金・人手・PRが不足していることがわかりました。これに以前から思っていましたリタイア犬への補助を加え、この4つの問題点を支援すべきと考えました。
そこで、当時のボランティア仲間とユーザーと相談し「クイールの会」を発足しました。

Q具体的な活動内容は?
現在は、街頭募金活動とPRチラシの配布、チャリティーコンサートの開催、チャリティグッズの販売、協会業務のサポートとして犬のシャンプー、犬舎の清掃、イベント時の補佐などのような活動を続けています。集めた募金はリタイア犬の医療費・葬儀費や盲導犬育成費への補助としています。
会員の皆さんは、発足当初からやる気を有り余るほどお持ちで、その気持ちを抑えながらやって来たようなところがあります。活動が軌道に乗ったと感じられるようになったのは、3年目ぐらいからでしょうか。活動する中で3年目ぐらいから衰退していくような会が多くある中、当会は現在、166名、99世帯の会員がいて、会員の7割あまりが女性です。特に中年の女性のパワーには感心させられています。行動力もすごくあり、尻込みすることなくやってくださいます。今後とも女性のパワーを活動の中心にするのは勿論ですが、高齢男性にも声掛けしていかねばならないと強く感じています。
また、クイールの会には、小学生から70歳を越えた方たちまで幅広い年齢層の会員がいます。これまでの地位や年齢などを一切ぬきにして、皆が対等につきあえる、そんな会の雰囲気が10年間続いた理由の一つだと思っています。

Q10年間の活動を通して感じられていることは?
活動の一つにリタイア犬の医療費補助がありますが、ユーザーの方から医療費の補助についてお礼をいただくことがあります。ユーザーの方は、やはり、リタイア犬へ強い思い入れがあるということが伝わってきました。ボランティアにとってもユーザーさんにとってもプラスになったので、大変よかったと思っています。
皆さん、犬が好きということで入会した方が多いですが、現在、10名のユーザーも会員になっています。ユーザーと一緒に活動していく中で、盲導犬だけでなくユーザーさんへの理解を深めるきっかけにもなっているようです。

Q今後の活動について、どのようにお考えですか?
4つの柱に関しては、引き続き継続していく必要があると思っています。
ただ、活動していく中で新たな課題も見えてきました。
ボランティア活動は有償がほとんどになっています。クイールの会の会員さんの多くは有償を嫌われますが、活動を継続するためには、全て無償で進めていくことを再考する必要があるのかもしれません。
また、もう一つの問題として、世話役の高齢化が挙げられます。新しい方への世代交代も必要です。10年を機に、組織の長を交代し、もっと新しいアイディアを取り入れられるような会になればいいのではないでしょうか。
ボランティアは、熱心に取り組むあまり、協会に対して良い方だけでなく、協会の仕事に踏み込みすぎるなど、悪い方に作用することもあり得ることです。協会側に遠慮があってもいけないし、互いに良い関係を保ち続ける努力は必要かもしれません。 □入会される理由はお一人おひとり、様々だと思います。ご自分の得意分野を役立たせたいという方もおられるでしょうし、犬が好きだから、という方もおられるでしょう。どのような理由で活動に参加されるにせよ、その結果が協会のため、ユーザーのためになっていけば良いのだと思います。
           *    *   *
今回、仁井様からお話をお伺いして、改めて皆さまのご協力に感謝いたしました。
心からの真摯なお気持ちが、ひしひしと伝わってまいりました。当協会も正面から向かい合い、お互いに話し合って、盲導犬事業の一層の発展に向け取り組んでまいりたいと思います。
本当にありがとうございました。

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