ハーネス通信は、関西盲導犬協会と盲導犬ユーザー、そして支援者の皆さんをつなぐ季刊誌です。年4回発行され、点字版、録音テープ版と紙刷り版があります(文章の内容は同じです)。ここでは、「ハーネス通信」の一部をインターネット版として掲載しています。ご意見、ご感想はこちらまで。
ふたりいっしょなら:新人ユーザーさんのお話
盲導犬をいつかは持ってみたい、と思っていましたが、持つ自信がありませんでした。歩くことに対しても自信はなかったですし、盲導犬を持つのは 中途失明の人が多いと思っていましたから、私にやっていけるかな? と思っていました。
でも、白杖で歩くのは疲れます。白杖はぶつかりながら歩くことになるので、精神的にもしんどいです。そんな話をしていた時、友達が盲導犬を勧め てくれました。盲導犬ユーザーの友達も「盲導犬がいたら元気になれる」と言ってくれ、盲導犬との体験歩行をしてみることになりました。
とは言っても、共同訓練についていけるのか、とても心配でした。覚えることもいっぱいあるし、特に後半は、自分でコースを考えて盲導犬と歩く課 題など私の苦手な課題が増えて疲れました。けど、終わってみると共同訓練は楽しかったです。何回でもわからないことは繰り返し教えてもらい、こん なに聞いてもいいんや、とホッとしました。共同訓練を受けて良かったと思っています。
共同訓練を予定通り修了して約3ヵ月が経ちました。実際にセレとの生活が始まってみると、けっこう大変
に思うこともあります。特に、犬の毛がこ んなに落ちるとは思わなかったです。今は、娘やヘルパーさんの目を借りながら、なんとかやっています。
逆に彼女(盲導犬)がいてくれて良かった、と思うこともいっぱいあります。職場まで歩く訓練をした時 盲導犬と歩いてみると、誰かと手をつないでいるみたいに歩けた! しかも早く歩くことができます。いろいろと心配に思っていることを打ち明ける と、一つひとつ聞いてもらえ、だんだん持ってみたいという気持ちが大きくなりました。ダメで元々、やってみようと思い、盲導犬を申し込みました。
、白杖ではなかなか覚えられないところも、彼女と一緒だと早く覚えられるような気がしました。互いに共同して覚えるから楽に歩けるのかな・・・。今では、彼女が私の横にいるのが当たり前になってきま した。彼女を別の場所に待たせている時はすごく心配だし、いてくれたらとてもあったかい気分になります。盲導犬を持って本当によかった。
持ってみないとわからないことはいろいろあります。盲導犬を持つ前に不安に思っていたことは多かったですが、まわりのアドバイスや経験で持つ前 の不安はなくなります。大変なことは多いけど、思ったより大変じゃない。
「盲導犬と歩くと楽しいですよ」
もし盲導犬を持とうかどうか迷っている人がいれば、そうお伝えしたいですね。
もっと旅行がしたい:代替えユーザーさんのお話
3頭目の盲導犬との共同訓練が修了して2週間。先代の盲導犬だったらこんな時こうしてくれるのにな、と思ってしまうことも少しずつ減ってきているような気がします。代替えも2回目になって、こちらもちょっと慣れたのかも・・・・・・。
でも、犬とのコミュニケーションが取れるようになるには、おおかた半年ぐらいはかかるでしょう。今はまだ、こっちのことをこの子(盲導犬)がわからないこともあるし、こっちがこの子の要求していることがわからないこともあります。犬の性格の違いもあるだろうけれど、まだまだこれからっていう感じかな。
歩いている時も同じ。前の子は階段の最初だけでなく最後の段でも止まっていたが、この子は止まらない
。ぼくは、階段の終わりの段でも止まってくれた方がいいので、これからこの子もそうするように教えていきたいと思っています。
盲導犬に対する命令語も以前とは変わってきているものもあるんだけど、つい古い命令語を使ってしまいます。犬は雰囲気を察して自分が何をすべきか学習しているみたいだから、古い命令語でも理解してくれるようですね。
1頭目の盲導犬との共同訓練が終わったのはちょうど20年前。その頃は亀岡市内に6人も盲導犬ユーザーがいて、盲導犬をもつ前から一緒に 丹後に海水浴に行ったり、楽しい雰囲気を間近に見ていたから、盲導犬を持つことも自然に考えていました。その当時はまだ今より見えていたけれど、将来視力を失っても活かされることだから弱視でも盲導犬を持っていた方がいいよ、と先輩ユーザーに勧められました。実際、1頭目の時に比べると、今は霞がかかってきたような見え方になっていますが、盲導犬がいてくれて本当に助かっています。
1頭目の盲導犬との思い出で一番印象深かったことは、地域の学校の子ども達との交流です。一緒に駅の券売機が視覚障がい者に使いやすいものかをチェックしに行ったり、運動会や季節の行事に呼ばれたり。今でもその時の子ども達とは付き合いがあります。でも旅行には自信がなかったから行きませんでした。この子とはあちこち旅行しようと思っています。共同訓練が修了した翌日には、早速京都ハーネスの会の新年会にも行ってきました。
前の子とはまだもう少し一緒にいれると思っていたから、寂しい思いはすごくあります。でも先日、近畿地方に大雪が降った時、リタイア先のボランティアさんから電話があり、大喜びで雪の野原を駆け回っていたと聞きました。そんな話を聞くと、そんなふうに遊びまわれる体力のある若いうちにリタイアさせたのは良かったかなと思っています。
飼うことで、盲導犬の育成に協力:キャリアチェンジ犬オーナーのお話
盲導犬には向かないと判断された犬(キャリアチェンジ犬)をペットとして迎え入れる家庭を募集している、とパピーウォーカーをしている友人が教えてくれ、早速申し込みをしました。そして1997年の春、1頭目のキャリアチェンジ犬が我が家にやって来ました。
彼女はおとなしい女の子。なぜかハーネスを体につけられることに敏感で、キャリアチェンジ犬になったそうです。そんな彼女との生活はとても楽しいものでした。だから亡くなった時は悲しくて、悲しくて・・・・・・。
こんな悲しい思いをするのなら、もう犬との生活は無理と思って いました。
でも、犬がいない生活はやはり寂しく、まず主人が訓練センターにキャリアチェンジ犬を申し込もう、と言い出しました。犬を飼うのであれば、盲導犬の育成に協力できるキャリアチェンジ犬のオーナーになる方がいいんじゃないか、と思ったのです。
前の子はとにかく良い子だったので、あんな子がまた家に来るのかなぁと思っていましたが、全く違ったタイプの男の子。最初はちょっとビックリしたけれど、それもこの子の個性。この子のやんちゃさ
も含めて家族で彼らしさを受け入れています。そして家族全員がこの子に癒されている感じです。
彼が来てすぐに信州のペットホテルに泊まりに行ったりもしました。最初のうちはハイテンションになるけれど、一度落ち着くとあとは大丈夫。 これまでは盲導犬としての勉強をしたけれど、これからは犬友達に会ったり、犬同士の社会勉強をさせてあげたいなと思っています。ドッグランにも連れて行ってますが、すぐに他の犬にちょっかいをかけられて、私たちの元にしょげて戻ってきて、膝にのって甘えてきます。
この子のパピーウォーカーさんからは子犬時代のアルバムをいただきました。とても大切に育てられていることが伝わってきて、そんなパピーウォーカーさんの気持ちを引き継ぎたいと思っています。そして、この子を仲立ちにして人間同士も交流関係が広がりました。この子には感謝しています。
【パピーウォーカーさんから一言】
おじいちゃん(ご主人)が仕事をリタイアし家にいるようになったことと、いっしょに暮らしている孫たちにとってもいい経験になるんじゃないかと 思って、パピーウォーカーを申し込みました。そして最初に預かった子です。![]()
あの子とはいろんなところに出かけました。こうした経験を通して犬も自信がつくみたいです。センターに戻ってからは、センターから電話があると、何の連絡なのかとドキッとしたりしていました。しかし訓練期間が長くなってくると、逆に心配になってきて・・・・・・。だから、キャリアチェンジ犬と判断されかわいがってくださるご家庭に行くと連絡があった時は、本当に良かったなぁと思いました。
うちに連れてきて、遊びに来てくださった時は、うちにパピーがいたせいもあってか、帰りたがっていたようでした。そんな様子を見ていて、「あぁ、新しいおうちの子になったんだな」と寂しいというより
安心する気持ちの方が強く喜んでいます。
初めてのパピーウォーカー:パピーウォーカーさんのお話
一昨年の暮れ、私は大きな悲しみに打ちひしがれていました。12年飼っていた愛犬ダックスが突然亡くなったのです。また犬を飼い始めてもいつかは死で終わると思うと、再び飼うことはできませんでした。でもでも犬のいない生活なんて考えられない。その悶々とした思いの中で、ある考えが日に日に強くなっていきました。
「そうだ、パピーウォーカーなら1年預かって訓練所に返すのだから死別はない!」。
私に1才になるまでの大切な時期のしつけができるのだろうかと不安もありましたが、とにかく、訓練センターに見学に行き相談をしました。しつけも大切だが愛情をもって育ててほしいと教えていただき、見学会を通してパピーウォーカーの役割の大切さを知ることもできました。
パピーウォーカーに登録をしてからは、パピーが来るまではわくわくしていました。名前を考えることもとても楽しく、「T」で始まる名前を考えてくださいとのことでしたので、暗闇を照らし導くたいまつのようになればと願いを込めて名づけました。
初めての対面の時はびっくりしました。なんせ、まだ2ヵ月に満たないというのにダックスより大きいのです。家に帰ってからはさっそくワンツーのしつけ(トイレトレーニング)開始です。出してくれとギャンギャンなくのをサークルの外から「ワンツー、ワンツー」と根気良く言いました。ふと気がつくと私自身がうんこすわりをして頑張っていました。さぞかし、狭いサークルの中、気張ってわけの分からんことを叫ばれて怖かったと思います。サークル嫌いになっては、と少し肩の力を抜き、しつけていくと2週間程でなんとなく彼も私もワンツーのタイミングをつかむことが できるようになり、1ヵ月程で自分からトイレにいくようになりました。
育て方もダックスの時と大きく違いましたが、自分流の育て方をしないことによって、預かり犬
だという意識が持てました。この子の永遠のパートナーは私ではないとも思わされています。もちろん一生懸命育てているけど、彼の犬格を思うなら、自分以外の方と共に暮らしていくことが幸せだ と心から思えます。
日に日に大きくなっていく・・・、体は大きいくせに甘えたの・・・。ああ、やっぱり"生き別れ"も辛いかも、です。
更新日:2011-04-01